曲の最後、舞台のロウソクが消える瞬間。少しだけ煙が上がって、静かに消えてほしい——というエフェクトを依頼されたことがあります。何度もシミュレーションを繰り返し、曲の余韻に合わせ、私的に絶妙なタイミングで仕上げました。作品名は出しませんが、今でも上手くできたと思える仕事のひとつです。観客は殆どそこを意識しないでしょう。それでいいんです。
映像への感動と、作り手の手応えは別の話
映像を見て感動することと、作り手として「うまく出来た」と実感すること——この二つは別の話です。私が一番嬉しいのは、自分の仕事が演出の中にうまく溶け込んで、なおかつそれが喜ばれ、そして観た人を感動させたとき。監督や演出さんは映像すべてに責任を持ち、大局から観ているので、たとえ私が「これでいいのか?」と思ってもディレクターの判断が優先されるのが基本で、それが正しい事が多い。しかし職人として「より良くなる」と思った時には提案くらいはしても良いはずです。
「演出を引き立てる」ということ
だから私は場合によっては提案をします。もちろん監督の意図している事を実現する事が目的だけど、専門家としては意図を理解した上で「きっと監督の思っている事はこういう事ですよね?」とか「もっとこうした方が良いかも」みたいな事が出てくるんです。
それが上手くハマって、監督も観客も喜ぶ。これこそが理想のCG屋の形じゃないですか。
あのロウソクの煙を「ナイス」と思った観客は少ないかもしれない。でもあの瞬間の余韻が少しだけ豊かになった——その確信が、手応えなのです。
発表できるかどうかは、実は関係ない
CGとして目立つ仕事もある。まったく埋もれてしまう仕事もある。
発表できる仕事もあれば、できない仕事もある。
でも「引き立てられた」という実感は、そのどれからも等しく生まれます。
手応えは自分の中にある。
直接やり取りした監督さん、演出さんは分かってくれてる。
プロとして恥ずかしくない仕事ができた。
ほかのCG屋なら、こうは行かなかったでしょ?
これでまずは十分なんです。
その瞬間のためにこの仕事をしている。
もちろんそれが世に出て、発表できたらこんなに嬉しい事はありません。
Z-FLAGでは、そういう感覚を大事にしながら仕事をしています。「一緒により良いものを目指す」ことに喜びを感じられる人と、一緒に働きたい。
