仕事柄、アニメを見るとき「あ、ここCGだな」とつい考えてしまいます。職業病みたいなものですが、慣れると面白い。3Dっぽく見えるカットがあったとして、状況証拠からある程度3Dか3Dでないかを見分ける事ができます。今日はそのプロの(?)見分け方を共有します。
①カメラワークを見る
建物をグルッと回る、キャラを360度旋回、狭い場所を高速通過、奥から手前への長距離移動——こんなカメラワークはCG率が高いです。手描きでパースを維持しながらやるのが超大変だから。1990年代後半の「もののけ姫」や初期ポケモン映画の頃から、背景を3Dオブジェクトにプロジェクションマップで貼り込んで立体的に動かす手法が使われ始めました。
②動きがヌルヌルしている
手描き日本アニメは伝統的に2コマ打ち・3コマ打ちが多いですが、3DCGはフルコマにすることも多く、それだけで見抜けます。80年代アニメにも果敢にフルコマで動かしたカットはありますが、3DCGのスムースさとはやはり違います。
③メカ・乗り物——そして馬車
メカは線が多いので3DCGが使われやすいです。「ゆるキャン△」の凜ちゃんのスクーターや「名探偵コナン」の安室透のRX-7など。SF・ロボット・車だけではありません。異世界・中世ファンタジー作品で必ず出てくるのが「馬車」。線が多く、脚が4本、車輪も回る。1〜2カットなら手描きもありますが、各話ちょこちょこ登場するモブ馬車まで出てくると3DCG率が非常に高くなります。
④モブと⑤キャラクター——技術の進化がここに出る
モブ(群衆)は手描きで動かすのが大変なのでCGが使われやすいジャンルです。ただ、アニメではモブは必ずしも動かす必要がない。動かすと視覚的にうるさくなることもある。のっぺらぼうにするのもアリなのが日本アニメです。逆に言えば、「AKIRA」(1988年)が手描きで徹底的にモブを動かしているのがどれだけ凄いか、ということでもあります。今見ても感心するばかりです。
キャラクターについては、最近は3DCG/手描きの使い分けが巧みになり見分けが非常に難しくなっています。2010年代の初期ラブライブ(μ’s)のMVあたりから違和感がかなり減った印象があります。見分けるとすれば「人数が多いか」「モーションキャプチャーの動きか」「引きのカットか」あたりですが、最近はキャプチャーをガイドに手描きで仕上げたりするので、プロが見ても抜け目がありませんw 「ぼっち・ざ・ろっく!」(2022)のライブシーンはその融合が見事でした。最近では「メダリスト」のスケートシーンがひとつの完成形だと思います。
見分けやすいCGと、見分けにくいCG——差は思想にある
スタジオの技術力以前に、「作品をよくするために3DCGを使っているか」「コストを下げるために使っているか」という思想が、見分けやすさに大きく影響していると思っています。3DCGか手描きかわからないアニメを作っている制作会社こそ、僕は称賛したいです。そんなことを頭のスミで考えながら、日々アニメを楽しんでいます。
Z-FLAGが目指していること
「作品のためのCG」にこだわること——それはZ-FLAGが長年大切にしてきた考え方です。見えないところに手をかける仕事が、作品全体のクオリティを底上げする。そういう仕事が好きな方と一緒に働きたいと思っています。アニメCGの仕事に興味がある方、ぜひ一度Z-FLAGのことを調べてみてください。
