CG制作をしていると、制作途中のテストや音声に感覚が慣れてしまうことがあります。
自分でも気づかないうちに「これでOK」と思ってしまい、編集でエフェクトがかけられたり音声が本番バージョンに変わったりするとかなりの違和感を感じてしまう。
そしてせっかく作ったディテールが損なわれたと怒ったりします。
でもそれが世の中に出て、改めて視聴者の立場で見ると「ああ、監督が狙っていたのはこういうことだったんだ」と改めて思うことが、私は多いのです。
優秀なディレクターであればあるほど、そういう取捨選択が上手い傾向がある気がします。それも完成寸前まで頑張る。
完成したものはいいものになります。
監督さんが作っているのは「映像作品」であり「綺麗な、細かいCG」ではないのです。
だから周到に進めていても、最後にバッサリ編集で切ったり、ディテールが判らなくなるくらいエフェクトを入れたりする。
だからと言ってどうせボケるから、小さいからわからなくなるとかタカをくくれという意味ではなく、その監督が欲しい要素を見極めて「最適な解」を見つけてあげるのが真の優秀なCG屋さんじゃないでしょうか。