CGチェックの作法

CG制作をしていると、「うーん、ちょっとここが気になるけど、これでいっか!上司(orクライアント)に見せてみよう!」と思ってしまうことがあります。

そして、本当にあるあるなのですが、それをそのまま出すとまず十中八九その部分を相手に指摘されます。
そして、「ああ、、やっぱ直しておけば良かった、、」と後悔する事になるのです。

自分では気づいていたハズなのに、そこに目をつむり、自分の心にフタをしていたのです。

私はそんな思いを何度も経験しています。
なぜそんなことが起こるのでしょう。

まずは「自分がそれを作った苦労、またその修正をする苦労」が一番見えているからです。
そして何より「自分は自分に甘い」からです。
はっきり言えば「そんな修正、めんどくさい」。
めんどくさいから、「とりあえず出してみて、指摘されなければいいだろう」となる。

でも人間は他人には厳しいものです。冷酷になれます。
ましてやディレクターやクライアントであれば、仕事なので血眼になって間違い探しをしてきます。
そしてたいていは悪気はありません。
成果物のレベルを上げたいだけです。
でも当然、自分の甘えた考えなど吹っ飛んでしまいます。

しかしCGって、初めから完成体ができるわけ、ないですよね。
だから頭を使い、相手とのコミュニケーションをうまく取る必要があります。

ベテランになり、
CG屋のレベルが高くなればなるほど、フィードバックの数は減ります。
相手の気持ちが分かっているから、正解に素早く正確にたどり着くのです。そして制作は速く進みます。

新人はトンチンカンなものを出すので、いつまでたってもフィードバックが無くならず、制作は遅く進みます。
相手の気持ちを考えず、自分の都合で考えるから、正解にたどり着けません。

また新人がやりがちな一番良くないパターンは、「いつまでも悩み続けてしまう」です。

若い頃の私もそうでした。

ツールを使える、という事と、
ツールで良いものを作る、という事は全く違います。
使えるからっていいモノができる訳じゃない。
道を間違えていては意味がないのです。

新人とベテランの違いはそこにあります。

そもそも新人は実力もないので、
自分の中でのフィードバックもできないのに、人に見せられるものを素早く作るなんて不可能です。

悩み続けている時点で、正解に向かってさえいないのだから、そういう時はディレクターに悩みを打ち明けねばなりません。
カッコつけて「一発でいいものを見せよう」というような変なプライドがあるから、時間ばかりが経っていくのです。
そして時間だけが経過し、心配されてしょーもない「現状」なるものを見せなければならないハメに陥り、
ボロカスに修正され、プライドがズタズタにされるのです。

チェックには制作過程それぞれの場面でのタイミングがありますから、臨機応変に動かなければいけません。

・相手は誰で、どんなものが求められているか
・今どんな制作過程で、進捗具合はどうなのか
・制作上、決めなければいけない要素の優先はどうなっているか
・何を見せ、何を判断してもらうのか。
・判断してもらうに足るものになっているのか

あらゆる事を判断して最適な行動を取りましょう。
相手がクライアントなら誤解を避けるため完成体に近いものなら嬉しいでしょうし、
相手が社内ディレクターだったらそんな体裁よりスピードが喜ばれます。

レベルの低いチェックを遅く出していたら、先を心配されてしまいます。
レベルの高いチェックを早く出せれば、相手も安心してくれます。

これもあるあるなのですが、
最初の要求そのものに矛盾や問題がある場合があります。

その場合はできるだけ早い段階で、それを提示し、前向きに提案できればなおベターです。

そんな考えもなく「言われたとおりにやりました」は、最悪です。
それは最終的に自分が損をする考え方です。

チェックする方も手間がかかるのです。エネルギーを使います。
下手なチェックを出されると、腹が立つ事だってあります。

あなたが何かを人に見せようとした時、その前に自分で提出物を確認する時、
お腹の奥のどこかで何か引っかかるものを感じたら、
その心の声に従い立ち戻るべきか、常に考え続けましょう。

提出が遅くてもいけません。
早く見せたいからって自分に甘くなってもいけません。
大原則は、「それを待っている相手の気持ちになって考える」です。

そこで、己で己を客観的に見て「これでいいのだろうか、、」と考え、
しっかり「チェック前チェック」を自分でする事ができれば、よりチェックの完成度は高くなり、
相手に不要なエネルギーを使わせず、無益なフィードバックを喰らわずに済む確率が上がります。

それは時間の短縮に繋がり、相手からの信頼を得ることに繋がるのです。

Z-FLAG

東京の神保町のCGプロダクションです。日本一を目指して活動中

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